嫌いな人はできれば作りたくないのに、嫌いな人ってどうしてできてしまうのでしょうか。
嫌いだな、苦手と思う人と一緒にいると、そのあと、ドッと疲れた。。。という経験はありませんか?疲れというのは肉体の疲労ともう一つ、精神面からくる疲労があります。
心理学では、精神的にくる疲れ、ストレスによる疲れのほとんどが人間関係と関係しているといわれています。ストレスだなー、メンタル的にしんどいなと思う事をよくよく考えてみると、やはり人が関係しています。
嫌いな人、苦手な人が絡んでくると人はストレスを感じます。自分の好きな人、付き合いやすい人とは多少ストレスがあるかもしれませんが、特にしんどいな、疲れたなどは感じないと思います。けれど、苦手な人嫌いな人はその人がいると思うだけで何か緊張したり、ちょっと嫌な気持ちになったり。。。というのはあるかと思います。
では、なぜ「嫌い」という感情になるのでしょうか?嫌いになる心のメカニズムを知って、ストレスのない人間関係を築きましょう。
1. 自己正義の優位性
色々な表現の仕方はあると思いますが、極端な言い方かもしれませんが、実は人を嫌う感情は自分の中にある「正義感」が関係しています。
多くの人が人は公平・公正であるべきだとどこかで思っているのです。正義は正しい、正しい人間であるべきだ!という思いが関係しています。
普通はこの考え方が人間関係を秩序正しくし、正しい方向に向けているのですが、時としてこの正義感が強い人ほど、正しくない人が目についてしまって、かえって人を悪く評価したり、人に対して嫌悪感を持つことになってしまいます。
正義感の強いタイプの人は、実は人を嫌いになる可能性も大きいということになります。
つまり、こうあるべきだという考え方も強くなり、そうなれない人に対してダメだという評価をしたり、嫌悪感を持ったりしてしまうのです。
例えば、皆さん会社でリストラにあった人がいるとしましょう。その人をどう評価しますか?どう思いますか?
「運が悪かったなあ」とか「リストラ対象が消去法でその人になってしまったのでは?」と思うのか、
「きっと大変な事をやらかしたからリストラされたんだ」「能力が低いから仕方がない」ととらえますか?
もちろん実際に理由がある場合もあるので本当はどっちなのか?が問題ではなく、どういう風に考えるか?で正義感の強いタイプかどうかがわかるのです。
正義感が強いタイプ人は後者の考え方を選びやすいし、正義感が強い人は、罰を受けてる人とかできの悪い人を低く評価するという結果が出ています。好意がもてないということになってしまいます。
2. 自己肯定と防衛反応(自分を批判する人を嫌う心理)
自分が批判されると、それが正しいことであってもその人を嫌いになるという心理学の法則があります。もともと親しい関係であっても、ひどく怒られたり避難されると、好意的だった気持ちが一変して嫌悪になってしまうことがあります。
なぜ自分に批判的な人を嫌いになってしまうんでしょうか?
心理学でなぜ意見の合わない人を嫌いになるのか?のメカニズムをお話しします。
自分と意見の違う人に好意を持てますか?自分にないものをもっている人だから惹かれるという感情はあると思います。
意見が違うくらいで強い嫌悪感は持ちません。しかしその相手が違う意見を言うだけでなく、自分の意見に反対してきて、「それでは、ダメ!」などと何度も強く反対して批判してきたらどうでしょうか?何となくムッとした気持ちになりませんか?
これを心理学の法則で言うと、「人は自分に似た人に魅力を感じ、似た人を好む」という類似性の法則があります。言い方を変えると「人は自分と異なった人には嫌悪感を抱く」という対人嫌悪の法則になってしまいます。ある心理学者は類似性が好意を生むことよりも、相違性が嫌悪を生むことのほうが大きいと言っています。
3. 自尊心維持の作用
次に、嫌いになる心のメカニズムとして、自尊心を維持しよう、自分を肯定的に評価しようという気持ちが人にはあります。心理学では自尊理論と言いますが、自尊心を高めるような評価を受けると、その評価をした人に対して好意を持つようになるという理論です。例えば、会社でゴルフコンペがあったとして、自分は特に上手くないとしましょう。そんな時に、上司に「本当に下手だなあ」と言われるとします。そんな時に上司にどういう感情を持ちますか?「ありがとうございます。なんと正直に私の能力を評価してくださって」などと相手に好意を持ちませんよね。実際にゴルフは下手だし、上司は間違えたことを言っているのではないのですが、正確に評価しているといえばそうなのですが、なぜか反感を持ってしまいます。これは自尊心維持の感情が働くからなのです。
4. 離れていく人を嫌う心理
例えば、仕事が終わって、職場の仲間に帰りに「ご飯行かない?」と誘ったとします。その時に、「今日は予定があるから」と断られました。また別の機会に、「お茶でも行かない?」と誘ったけど、「早く帰らなくちゃいけないから」と断られたとしましょう。こういう相手に対して、避けられてるのでは?思うと、少々相手に嫌悪感を持ってしまう人も少なくありません。相手は本当に用事があったり、予定があっただけなのですが、誘って断られることが続くと、誘った方は何か自分のことを避けてるのか、感じ悪いとネガティブに思ってしまいがちです。
自分の前から逃げて言ったり、去って行ったりする人に対して、人は感情的に嫌われていると感じ、相手に嫌悪感を感じてしまう心理的な法則があるんです。皆さんはどうですか?
5.優れた相手、友達を嫌う心理(SEMの心理メカニズム)
質問です。
皆さんは自分の友達が好きですか?→はいでしょう。
その友達に嫌いなところはありませんか?→。。。
複雑な気持ちになると思います。
これは人には自尊心があり、それが他者との関係で問題とされる状態となると、自分自身への良い評価を維持しようという心理メカニズムSEM(セルフエバリューションメンテナンス)が働きます。
例えば、よくある話なのですが、一番の親友が結婚が決まったとしましょう。とても嬉しく思いますよね。でもその反面自分がまだ結婚してなければ、自分の方が劣って見えて、親友がうらやましくなるだけでなく、相手に何か落ち度を見つけたり、結婚相手を悪く思うことで落ち着かせようとする心理的な部分が働いてしまいます。
自尊心を維持する事は、実は人間にとってとても重要な部分になっているのです。
いかがだったでしょうか。
皆さんの中にも、嫌いな人を思い浮かべてみてください。その時に自分の心にある物差しが見えてきます。
自分の心を知り、心に余裕を持って人間関係を作っていきましょう。
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